「フォー・ウェディング」「ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」の脚本を手がけてきたリチャード・カーティスが、本作で監督デビュー!
群像劇って好きだな(といっても、ワタシがこれまで観た群像ものってごく僅かなんだと思いますけどね)。 最近観た群像もので印象的だったのは「セレヴリティ(98年)」「彼女を見れば分かること(99年)」「マグノリア(99年)」「ディナーラッシュ(01年)」「ダブリン上等!(03年)」など、登場人物達がどう昇華されてゆくか、それを見届けるのが群像劇の醍醐味ですよねぇ。先にあげた作品は、どれも意外性があって面白かったなぁ。 本作「ラブ・アクチュアリー」は、数ある群像ものでも「英国製」ってところがミソなのかも?。 だって英国製群像劇って。。。。ん?やっぱり思い出せない。あ!ゴスフォード・パークって群像ものかしら?あまりお目にかからないような気がするんです、英国製群像劇って。 本作が初監督作品となるリチャード・カーティスは、数々のラブ・コメを手掛けてきた脚本家として知られており、プロデューサーのT・ビーヴァンとE・フェルナーとは「ブリジット・ジョーンズの日記」で、D・ケンワーシーとは「フォー・ウェディング」「ノッティング・ヒルの恋人」で共に仕事をしてきていますね。 「ブリジット・ジョーンズの日記」「フォー・ウェディング」「ノッティング・ヒルの恋人」。。。オンナ子供に大人気のこの3作品、実はどれも好きなんですよね〜。この3作品全てに共通しているのが先にあげた製作陣と、ワタシにとっては永遠のアイドル、ヒュー♥グラントです。きゃ------ーーーーーっ♥♥♥♥♥!! 本作が英国には珍しい?群像劇となったのは、米国製英国映画(笑)を数多く手掛けてきたプロデューサー達との信頼関係があってのことでしょう(と想像する(笑))。過去の作品を見ればお分かりのように、3作品とも世界中で大ヒットしたラブ・コメであり、本作はカーティスを含む製作陣営の集大成とでもいうべき作品なんでしょうね。 どう頑張っても英国首相には見えないヒュー・グラントのエピソードは御愛嬌(英国首相も恋をするんだよってところでしょう)として(笑)、登場人物たちは皆ごく普通の人々で、ごく普通の生活を営んでいる人達。それぞれのごく日常での喜怒哀楽といったものが、あまりにもごく普通で等身大だからこそ面白い作品だ。 再起復活をはかるロックスター・ビリーがレコーディングしていた新曲は、監督が脚本を手掛けた「フォー・ウエディング」の主題歌っていう粋なハカライに冒頭から笑わせてもらった!数々のエピソードの中でも粋なスパイスとなっており、私が一番グっときたのも彼についてのエピソードだったな。扮するビル・ナイについては本作以前の作品を知らないのだが、最近では「パイレーツ・オブ・カリビア」に出演していましたね。あのタコ入道がそうです、確か(曖昧だなぁ(笑))。 また、丁寧にラッピングする手付きが妙に可笑しく何かにつけて「lovely」を連発する店員にR・アトキンソンを配置したのも監督のこだわりでしょう。説明なくともご存知の通り、R・アトキンソンは大ヒットコメディ(ドラマ)Mr.ビーンが有名だが、「フォー・ウエディング」でも絶妙な役柄で登場しているので、興味のある方はチェックを! 19人にもおよぶ登場人物の見事な人物配置、その巧妙さが実に楽しい作品です。 それぞれの思いがクリスマスにクライマックスを迎えるってのも、あまりにも普通な展開だからこそ観ていて胸にくるものがあった。どのエピソードも他を邪魔することなく、どの登場人物も出しゃばらずに上手いこと配置されている匠の業。群像劇って脚本家の力具合がモロに影響しますよね、作品に。 空港で始まり空港で終わるっていうのも好きですね。 ワタシ、なんでだか空港が大好きで、空港に集まる人達を観察するのが更に大好きなんですよ。 だから、本作で言わんとするところが良〜く伝わってきました。空港ほど想像力をかき立てられる場所はないですもん!冒頭の特に誰を撮るでもない「空港での群像シーン」に始まり、空港に集まってきた登場人物達(群像)で締める辺り、リチャード・カーティスの感性って信頼できる(個人的に好き!って意味合い)なって改めて感じました。 (宗教的な意味合いが介在しない)日本人でさえ、クリスマスには何か特別なことをしたくなったり、誰かをもてなし感謝したくなるものだ。一年に一度だけ「妙に素直になってみたい気持ち」になるのはクリスマスの日であって、盆や正月じゃーない(笑)。欲を言えばこの作品、12月に公開されてれば完璧だった! #
by pugslife
| 2007-03-07 00:20
ジャック”オレ様こそ名優”ニコルソンが、これまでのイメージを覆す役柄に挑戦。
これが意外にもハマり役で素敵です。 原 題 as good as it gets (98年/米) 制 作 ジェームズ・L・ブルックス 監 督 ジェームズ・L・ブルックス 脚 本 ジェームズ・L・ブルックス 撮 影 ジョン・ベイリー 音 楽 ハンス・ジマー 出 演 ジャック・ニコルソン ヘレン・ハント グレッグ・キニア キューバ・グッディング・Jr. J・ニコルソン扮するメルヴィンは、人気の恋愛小説家。 数々の言葉で女性の心を鷲掴みにしているが、実像の彼は、強迫神経症で潔癖性。自分の世界や価値観から一歩も外に出ることはなく、そのうえ自分を含む世の中の全てを否定しながら生きている孤独なオヤジだ。 それが隣人の画家のマネージャー( キューバ・グッディング・Jr.)に不意をつかれ、周囲との関わりを持たざるを得なくなってしまう。 ところが、嫌々行った「善行」には、思いがけないお返しがあった…。 最初の一歩は犬っころ。嫌々ながらも人生で初めて得た相棒に、不思議とメルヴィンは癒されていく…。 「強迫神経症の潔癖性」、一体なんじゃそりゃ?って感じだが、ストーリー的には大意はない。 ただ単に変わり者の親父ってだけ。 でも、これがラストへの伏線になっているので、あながち無視はできない。 偏屈親父、病気持ちの息子を持つウェイトレス、隣人の同性愛者(笑)。 非凡すぎて平凡に感じるこの人物配置(笑)。 しかし常にメルヴィンの不意をつく(メルヴィンの言葉を借りれば)黒蜜色した画家のマネージャーが絡むことで、この平凡な人物配置にエンジンがかかる。 最初はあくまでも利己的であった「善行」に反応がくることで、いまの自分を取り囲む最小限の人間に対しては「信じる気持ち」になってゆき、ゆえに自分自身をも信じられるようになってゆくのだ。否定し続けた世界にやがて陽が差し、陽の光りの気持ち良さを知ったメルヴィンは、もっともっとと求めてゆく。 そして「求める」にはまず「差し出す」のが人間関係のルールなんだと気づくまでのメルヴィンを、映画は優しい眼差しで見つめているように感じましたねぇ。素晴らしいです。 大筋のストーリーは平凡ながら、一つ一つのエピソードに絶妙なユーモアを交え、役者のオーバーアクトも何故か不思議と自然なものに見えてしまう妙技は、さすがとしか言いようがありません。 メルヴィンが少しずつ人間らしさを取り戻していくサマは、まるで小さな子供の成長を見守るかのようで、いつのまにやら偏屈親父の応援をしている自分に気付くでしょう。それは、自分自身への応援だったりもするのです。きっと。 ランキングに参加しています。レビューが気に入ったら押して頂けると励みになります! #
by pugslife
| 2007-03-07 00:17
若い世代の恋愛を描いた映画はゴマンとあれど、初老世代の恋愛がこんなにも素晴らしい作品なるなんて。。。!アメリカの映画業界、まだまだ捨てたもんじゃありません。
原 題 Something's Gotta Give(04年アメリカ) 監 督 ナンシー・マイヤーズ 製 作 ナンシー・マイヤーズ ブルース・A・ブロック 脚 本 ナンシー・マイヤーズ 撮 影 ミヒャエル・バルハウス 音 楽 ハンス・ジマー 出 演 ジャック・ニコルソン ダイアン・キートン キアヌ・リーヴス フランシス・マクドーマンド 初老と言ってもいいであろうダイアン・キートン扮する人気劇作家エリカと、これまた初老の域に既に突入しているジャック・ニコルソン扮する音楽業界の独身貴族ハリー。 この二人に、キアヌ・リーブス扮する医者が絡んで予想外の三角関係!ってさぁ(笑)。 まったくもって触手が伸びなかったのよ、いままでっ! だって観たくないじゃん(笑)?D・キートンとJ・ニコルソンの恋愛ものなんて。 しかもそこにキアヌが絡んでキートンを取り合うなんて、どーしたってあり得ないじゃん(笑)? ところがっ! 今までこの作品を観なかったことを後悔するくらい、非常に良く出来た作品で驚きました。 D・キートンとJ・ニコルソン+キアヌ。。。この設定は始めっから無理!そう思い込んでいた自分の頭の堅さ加減を呪いたくなりますね(笑)。 この作品、これまでの恋愛ものとは一線を画す、と〜っても素敵で洒落た作品です。全ての映画ファンにお薦めしたいですっ! D・キートン扮するエリカは劇作家。海辺の瀟酒な邸宅を仕事場にしている人気の劇作家。 J・ニコルソン扮するハリーは、音楽業界のドン(首領)ともいうべき存在。リスクを恐れず、若手を発掘しては世に送りだし成功し続けており、私生活までもがファッション誌に取り上げられてしまうよな、いわば独身貴族だ。 そんな二人が、エリカの海辺の家でひょんな出会いをする。エリカの娘が、父親ほどの年齢差があるハリーと交際をしており、週末を海辺の家で過ごそうとやって来たのだ。 ところが、エリカの家で過ごした初日の夜、ハリーは心臓発作で倒れてしまう。ハリーの担当医師ジュリアン(キアヌ)は、長年憧れていた劇作家がエリカだと知り、食事に誘う。。。 この作品の素晴らしいところは、なんといっても脚本です。 (監督兼脚本を手掛けたナンシー・マイヤーズの作品を全て観たくなってしまいました。) 初老の恋ですよ、皆さん。 いったい誰が想像したでしょう?初老の恋を描いて、こんなにも洒落た恋愛コメディになるとは。 血圧計やバイアグラ、老眼鏡といったシニア御用達のグッズが、なんと恋を語ってしまうのです(笑)。 老眼鏡にまつわるエピソードは本当に素敵でした。 台詞もいちいち素敵です。大人でなければ語り得ないような意味深で洒落た台詞でありながら、嫌味がまるでありません。 この作品の軽やかで洒落た雰囲気を印象づけたのは、主演のダイアン・キートンの演技があまりにも自然でピュアだからでしょう。「演技」とは思えない存在感です。 とはいえ、オーバーなくらい演技しまくっているエピソードも用意されています。そう、ちゃんと用意したんでしょうね。いわゆる「見せ場」を。 失恋した彼女が自分の体験を舞台劇の脚本に反映させるのですが、恋の痛手を負っていながら客観的に作品に反映していくサマは、大人の余裕?すら感じさせます。痛い体験をしたからこそ上質な脚本が書けてしまう面白さに酔っていくんですね(笑)。思い出しては泣き、良い台詞が書けたことに笑うエリカ。泣いて笑ってまた泣いて、彼女は自らの体験をもとに最高傑作を生み出します。この面白さったらありません! 彼女にくらべると、J・ニコルソンはまだまだ「オレ様こそ名優」を引きずっているよな演技に見えてしまいます。それっくらいにD・キートンが素晴らしい!まるっきり彼女に興味がなかったワタシですが、この映画で本当に好きになってしまいました。こんな歳の取り方をしたい、そう思わせてくれる素敵な女優ですね。 こんな二人に絡んでくるキアヌが、青二才に見えてしまうのは致し方ないことですね。そこを狙っているのかもしれませんし。この医師の存在をもう少し厚く描いてくれてたなら、もっともっと見応えのある映画になっていたでしょうに。 素晴らしい恋愛コメディとの出会い。 若い世代の恋愛ものも良いけれど、ワタシはこの作品のような恋愛ものを、もっともっと観たい! #
by pugslife
| 2007-03-07 00:15
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