言いたい放題映画レビュー*エド・ウッド
f0122159_215458.jpg1950年代。
才能はないけれど、情熱だけはピカイチな監督がいた。その名は「エド・ウッド」。ティム・バートンの愛情で綴った「師」へのラブレターに拍手!

原 題 edwood(94年/米)
監 督 ティム・バートン
脚 本 スコット・アレクサンダー ラリー・カラゼウスキー
撮 影 ステファン・チャプスキー
音 楽 ハワード・ショア
出 演 ジョニー・デップ マーティン・ランドー サラ・ジェシカ・パーカー パトリシア・アークエット ジェフリー・ジョーンズ


ビデオデッキが家庭に普及し始めたばかりの頃、ビデオ屋でのレンタル料は「1本(1泊2日)800円!」で、相当に割高な料金だった。なもんだから、当時貧乏学生だった私がそう気軽にレンタル出来るわけではなく、友人達と観たい映画を厳選してはお金を出し合い、モニターを皆で囲んで有り難く映画を観る…というのがビデオ勧賞時のスタイルとなっていた。

そんなビデオ勧賞仲間とレンタル屋を訪れたある日、仲間の一人が叫んだ。
「エド・ウッドの映画が入荷されてる!」と。
私らは「誰?」と言った感じだったが、その彼曰く「B級映画の神様のような監督だよ。」と。
当然のことながら私らB級映画御愛好チームは、このビデオをレンタル。期待に鼻の穴を思いきり膨らまし、皆でモニターを囲んだ。そして映画のあまりの不出来に言葉を失い、ついでに小遣いも失ってしまった(笑)。

本作「エド・ウッド」は、そんな才能ナシな監督(笑)の半生を描いた作品。やはり業界内でもかなりの変わり者と言われるティム・バートン監督が、「師」への愛情で綴ったラブ・レターとでも言うべき作品でしょう。それは「自分もあなたと同類ですよ。情熱だけでやってます。」と言いたげで、これ以上の賛辞はあり得ないでしょうね(笑)。

いかんせ題材がエド・ウッドなもんだから(笑)、伝記映画の重々しさや仰々しさはなく、印象はあくまでも軽やか。この映画を観ていると、エドに才能がまるでなかったワケではないことに気が着く。彼のアンテナに触れる事柄は面白いのに、表現する力が無かっただけなのだ。「表現者」という道を選んだのが間違いだった!同じ映画界でも、他の役目に廻るべき人だった。
がしかし、そう助言しても彼は監督の道を選んだだろうし、その情熱だけは誰にも負けていない。
どんなに優れた才能を持ち合わせていても、制作意欲を維持し続けられる人ってそう多くはいないはずだ。いつかは商業的に傾いたり、打算的になったりするものだ。しかし彼は自分の感性を信じ、自分が表現したいことにこだわり続け、それがたとえ自己満足だとしても「御満悦」だったのだ。

少なくとも、エドと知り合ってからのベラ・ルゴシは、彼の存在に感謝していた。
もう一度スクリーンの仲間入りをさせてくれてありがとうって、そう思っていたに違いない。
このベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドーが、とにかく素晴らしい。彼が出演しているどのシーンにも釘付けになってしまう。沼での独り演技は、笑うと同時に哀しく、無邪気そうでいて切ない。

エドに扮するジョニー・デップも非常に魅力的でチャーミング!
自分の信念を貫き通したエドのどこかネジが外れた人間っぷりを、こんなに魅力的に演れるのはジョニー、あなたしかいません、って。彼の澄んだ瞳がいいね。ベラの最後の作品を見つめるあの瞳。あの瞳を見てしまうと、いかにエドが才能なしだろうが感性が欠落していよーがどーでもいいや!

なにがどうあれ、エドという人は、非常にピュアな人間だったことが良く分かる。そう、エドはとても純粋な人間だったんだ。だからこそ、自分の感性を疑うことすら出来なかったのだろう。
この映画が公開されるずっと以前から、エドは私ら映画好きの間では注目されていた。生前に誰一人として彼を認めなくとも……。
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by pugslife | 2007-03-07 21:05
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