人気ブログランキング | 話題のタグを見る
言いたい放題映画レビュー*遊星からの物体X
言いたい放題映画レビュー*遊星からの物体X_f0122159_0223466.jpgB級SFホラーの大御所、ジョン・カーペンター監督の出世作です!
原 題 the thing(82年/米)
監 督 ジョン・カーペンター
原 作 ジョン・W・キャンベル・jr
脚 本 ビル・ランカスター
撮 影 ディーン・カンディ
特 撮 アルバート・J・ホイットロック
音 楽 エンニオ・モリコーネ
出 演
カート・ラッセル A・ウィルフォード・ブリムリー リチャード・ダイサート ドナルド・モファット T・K・カーター デヴィッド・クレノン

23年前(笑)、美術学校の生徒だった私は、興味本位でいろんな同好会に顔を出していた。
授業に出るよりも学生ホールで知り合った先輩達と過ごすことを何よりも楽しみにしており、ワケあって一学年上の先輩達と同い年だった私(笑)が、変わり者の集団「映像研究会」の輪に馴染むのに、長い時間はかからなかった。
そして、今まで馴染みのなかったジャンルの映画を数多く観るようになっていったのです。

当時の私らの興味は、いかに面白い映画を安く数多く観るか?であった。
そんな貧乏学生の強い味方となってくれていたのが、池袋の「名画座」、高田馬場の「早稲田松竹」、東京駅の「八重洲スター座」だった。
オールナイト・500円均一で、S・キューブリックやフェリーニ等の監督別5本立てはもちろん、「朝までスプラッター」「傑作B級5本立て」「背筋が凍る映画特集」等の面白い企画を定期的に開催。
そういった企画の時には劇場内に必ず部員の顔が居て、一人で劇場入りしても、5本の映画が終わる明け方には知った顔ばかりになり、早朝のマックでコーヒー飲みつつ感想を言い合ったもんだ。

本作「遊星からの物体X」も、そういった企画ものの1本で観たのが最初であり、ジョン・カーペンター作品の中でも特に興行的に成功し、一般ウケしたSFホラーと言われています。

謎の生命体が次々と人間(動物)を襲い、同化し、次の獲物をまた襲う。
という、いたって単純なストーリーなのだが、その緊迫感は最初から最後までダレることなく張りつめており、嫌がおうにも観客を道づれにしてゆきます。この作品以降、数多くのクリーチャー映画を観てきましたが、ここでの「物体」は別格。オリジナリティ溢れる「愛すべきキャラ」といった方が良いでしょう。当時22歳の若者が手掛けたこのクリーチャーを初めて観た時、あまりの不気味さと面白さに度胆を抜かれたもんです。

今では名シーン(?)となった「血液検査」は、何度観ても心臓バクバクもの。
観客に「来るぞ来るぞ」と時限爆弾と仕掛けておいて「やっぱりきたーーっっ!!」と爆発した時の緊張と驚き!
そして土壇場での人間の行動の面白さ!
この映画にはクリーチャーの独創性を観る楽しみはもちろん、閉ざされた環境での人間の非力さも描かれており、そこが何度観ても面白い作品となった所以でしょう。

男ばっかの極寒の南極基地で「制限される行動」と「精神力」「体力」、その限界。
この不気味さと可笑しさは、他のどの映画にもないもの。さすがに時間と予算を注ぎ込んだだけはあるね(笑)。
どの作品にも「手作り感」を漂わせるジョン・カーペンター作品の中でも「傑作B級SFホラー」の名に恥じない(笑)渾身の作品です。

そして腹の底から驚いてしまったのは、この映画の音楽を「エンニオ・モリコーネ」が担当していることです!
モリコーネと言えば、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「アンタッチャブル」、最近の作品では「海の上のピアニスト」などを手掛けている大作曲家であり、その始まりはマカロニ・ウエスタンでした。
その彼が!この映画の音楽を!ってか、この映画に音楽なんてあったっけ?ってのが正直な感想なんですが。。。(笑)。

主役のカート・ラッセルは、やはりジョン・カーペンター作品である「ニューヨーク1997」に出演後、本作での主役に抜擢。
私的に「B級ホラーにこの人あり」という感覚から未だに抜けられないアタシですが、この9月(2007年現在)に公開されるタランティーノ作品にブチ切れた連続殺人犯役(?)で出演。タランティーノ監督いわく、「昔観たB級作品には必ずカート・ラッセルが出演していて、すごくかっこいいと思っていた。当時のようなB級映画を作ろうと決めた時、主役は彼(カート)しかいないと決めていた」とテレビのインタビューで話していたのを見て、とても嬉しくなりました。
まぁ、タランティーノ監督と感覚が似ているのが嬉しいか否かは人それぞれですが。。。!
by pugslife | 2007-03-07 00:23
<< 50音順INDEX/映画レビュー 言いたい放題映画レビュー*ラブ... >>