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言いたい放題映画レビュー*21g
言いたい放題映画レビュー*21g_f0122159_0115832.jpgジグソーパスルの様に細切れにされた時世が、隙間なくピタリと収まってしまう構成力の高さ。
そして何よりも役者達が素晴らしい。

原 題 21g(04年/米)
監 督 製作 アレハンドロ・ゴンザレス 
脚 本 ギジェルモ・アリアガ
出 演 ショーン・ペン ナオミ・ワッツ ベネチオ・デルトロ シャルロット・ゲーンブール

「タップス」という士官学校を舞台にした映画で、初めてショーン・ペンを観た。
やはり役者としては駆出しだったトム・クルーズも出演しており、当時の若手俳優出演ということで話題なったのを覚えている。思春期の頃にアイドルとして胸ときめかせた相手(俳優達)が、競争激しい映画界で今なお第一線で活躍している姿を見るたびに、自分で自分を褒めて差し上げたくなります(笑)。
当時の私の感覚は間違っていなかった!ってね(笑)。
この審美眼が実生活では効かないのが残念だ(笑)。

「21g」とは魂の重さだという。
人は死んだ時、21g軽くなるのだとか?
それを重いと感じるか軽いと感じるかは人それぞれだが、魂に重さがあることを知ったこと自体が私には軽い衝撃だった。
映画「21g」は、メキシコ人監督アレハンドロ・ゴンザレスの才気が冴え渡り、観客達に小さな衝撃を何度も何度も与えながら、一種独特の生々しい世界に引きずり込んでゆく。

ジグシーパズルのピースのように細切れにされた時世(物語)は、映画の中盤に差し掛かっても決して全貌を見せてくれようとはしない。なのに終盤で一気に、しかも整然と組まれてしまう匠の業に衝撃を受ける。
こうしたシリアスで重たいストーリーを細切れにされて、頭ん中パニックにならないのか?という心配は無用。このパズルは、見事にピタリと完成してしまうのだから。
この完成度の高さは、脚本や編集の技術力によるものだけではなく、役者達の魂の込めようが深いからこそ実現したのだと思う。

映画の終盤に差し掛かってからは、涙が溢れて止まらなかった。
あれだけ細切れにされたシーンの断片でありながら、ここまで私の心を揺さぶってしまえるのは、「人間模様」という物語(根底)に「魂」という大柱がしっかり根付いているからだろう。

余命数カ月と宣告されたポールが、ある一家の不幸をきっかけに、一度は諦めた人生に命を吹き返す。今の自分が生きていられるのは、ある一家に起こった不幸のおかげ。。。という気持ちが疑似恋愛感情に発展してゆくのもある意味自然だ。
ただ、これまで付き添ってくれた妻の望み(子供)を叶えることに何の協力も努力も出来なかったのは、もともとこの夫婦には亀裂が生じていたからだろうか?そうなのだろう。と、細切れにされた物語を時世通りを並べてみると比較的単純なストーリー展開であり、唯一残った疑問がこの点だった。「なぜに妻の望みに添えなかったのか」。
 
ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、デル・トロ、みな性格俳優として知られる役者達。
この映画では、今まで以上にクオリティの高い仕事をしているのが嬉しい。また、ポールの妻役に扮したシャルロット・ゲーンスブールの登場には正直驚いた。言わずと知れたジェーン・バーキンの娘っ子である。
ショーンの妻役を演じるとは、大人になったなぁと感慨深い。
by pugslife | 2007-03-07 00:13
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