言いたい放題映画レビュー*サンシャイン2057
f0122159_20534641.jpg鬼才ダニー・ボイルの最高傑作。恐ろしいほど才気溢れる監督、と改めて感じました。

原 題 SUNSHINE(07年米/製作国:英国)
製 作 アンドリュー・マクドナルド
監 督 ダニー・ボイル
脚 本 アレックス・ガーランド
音 楽 ジョン・マーフィ UNDERWORLD
出 演 キリアン・マーフィ ミシェル・ヨー クリス・エヴァンス 真田広之

1億5千万km彼方から発せられる太陽の光が地球に届くのは8分後。
太陽の全照射のうち、たった4%を直視しただけで、人間の眼は焼けただれるという。
といってもワタシにはまったく想像すら出来ないことなので、身近なところから一つ。
たとえば洗濯物は太陽光に充てないと雑菌が繁殖して臭くなってしまう。太陽の光で乾かした洗濯物や布団の柔らかで温かい匂いは、お天道様からの恵みの一つといつも思っている。乾燥機をフル回転させても、あの匂いだけは再現できない。
が、もしも太陽の効力が半減したらどうなるんだろうか?

50年後の地球。生命の源である太陽が死にかけ、人類が滅亡の危機に直面している。
人類の最後の希望は、宇宙船イカロス2号に託された。彼等のミッションは、ペイロード(核爆弾で出来た挿装置)を太陽に打ち込み、太陽を再生させること。
16ヶ月前、凍てつく地球を後にしたクルー達の運命。それは任務成功の如何によっても、その先にあるのは「死」。

え〜っと、最初に断っておきますが、地球を救うというテーマを描いたSF作品、たとえば「アルマゲドン」「ザ・コア」のような作品を期待しているヒトには全くもって向かない作品です。
テーマは違いますが「2001年:宇宙の旅」とか「惑星ソラリス」といった作品に心動かされるものがあったヒトには、この作品も興味深く勧ることが出来るかもしれません。
それにしても、「2001年:宇宙の旅」が製作されてから40年近く経つというのに、この作品は本当に多くの映画人に多大な影響を与え、いまなお翻弄し続けているのだなぁと改めて感じました。
本作<サンシャイン2057>は、2001年:宇宙の旅へのオマージュともいえる作品かもしれません。しかしその描き方は恐ろしいほどダニー・ボイル節です。
彼の作品の中でラストシーンに胸が熱くなったのは「トレインスポッティング」「28日後」と本作<サンシャイン2057>です。なんだ、ほとんどじゃん(笑)。

この映画の主役は「太陽」であり、描かれているテーマは「神との対峙」。
太陽が主役故にその他の登場人物達は必要最小限の説明しかされません。が、十分すぎるほどです。
不活性化しつつある太陽に、人間達は核爆弾をぶち込んで本来のエネルギーとパワーを蘇らせようと、厚かましくも図々しく実に傲慢な手口で神の領域に足を踏み入れます。不法進入のようなもんです。

あ!不法進入で思い出しました。
「悪魔のいけにえ」で大学生達がやはり厚かましくも図々しくよそ様の家に土足で上がりこむんですが、そこは狂気のサイコキラー・レザーフェイスが住む家で、学生達は片っぱちんから切り刻まれてしまうんです。
「不法進入するからだよ」と思った自分が居ましたっけ。

あ!話題がソレました。
そう、神との対峙です。
ここで描かれている「神」とは、圧倒的なエネルギーを放出する存在:太陽であり、本作は一見地球を救うクルー達の人間ドラマと見せかけておきながら、実は神=太陽に焦がれ魅せられ、その存在の前には人間など塵のごとくと描いた作品、だと感じました。
素晴らしく美しい映像美に淡々と流れるスコア。そういった芸術的センスも素晴らしいのですが、本作でもっとも興味深かったのは主役(太陽)とテーマ(神との対峙)であり、この大柱が潔いほど全編に渡って突き刺さっている点です。
その描き方が実にユニークで興味深いのですが、たぶんこの作品を評価する人は少ないでしょう(笑)。

恐ろしいほど才気溢れる監督。
彼は間違いなく今後も傑作を世に送り出すことでしょう。素晴らしいです。
また、キャパに扮したキリアン・マーフィ(ワタシの今イチバンのお気に入り俳優です)が素晴らしい!
彼の真っ青な瞳の奥にふとよぎる不安や神への恐れ。キャパ役には彼しか考えられませんね。

とてもシンプルでピュアな内容であり、その描き方もブレることなく一貫しているのに、この作品を駄作と一蹴しているレビューが多くて驚きました。
眼に見えるものに気を取られてはいけません。内包されているテーマにのみ集中してみてください。
[PR]
by pugslife | 2007-03-07 20:52
<< 言いたい放題映画レビュー*サスペリア 言いたい放題映画レビュー*死ぬ... >>