言いたい放題映画レビュー*ジャッキー・ブラウン
f0122159_20465660.jpg世間的には不評なこの作品、ワタシはタランティーノ監督の作品の中で2番目に好きです(2番目なのね、1番じゃなくて(笑))


原 題 JACKIE BROWN(97年/米)
監 督 クエンティン・タランティーノ
脚 色 クエンティン・タランティーノ
原 作 エルモア・レナード
出 演 パム・グリア サミュエル・L・ジャクソン ロバート・デ・ニーロ ブリジット・フォンダ マイケル・キートン ロバート・フォスター

物語はパム・グリア演ずるジャッキーが、安っぽい制服に身を包み、空港を闊歩するシーンから始まるのだが、私はこのシーンでガシッ!と心を鷲掴みにされてしまった。中年後半にさしかかる黒人女性が、メキシコ航空というローカルな会社のコスチュームを「着せられている」。たったこれだけで、中年女の哀愁さを演出することに成功しているのだ。
なんだか妙に切なくなる導入シーンだと思いませんか?(そんなワタシの第一印象はまんざら間違っていなかったようで)彼女のこの切なさが、ラストの顔へと繋がっていくのです。

そんなジャッキーに保釈金融業者マックス(ロバート・フォスター)が絡んでくるのだが、この二人、裏社会に生きる中年男女の哀愁が顔の皺一つ一つに刻まれているようで、情感漂ういい感じのカップルになってゆく。パム・グリアもロバート・フォスターも役者人生は長いそうだが、世間的にはあまり知られていない役者。その二人を堂々起用し哀愁漂うカップルに据えたあたり、やっぱりタランティーノ監督って役者に対する思い入れが深い人なんだなぁって思わずにいられません。役者への愛情というか、敬愛?といったものを感じて、なんだかとても好感が持てるのです。

そのいっぽうで、有名どころにはアホな役をあてがって面白がっているようにも感じたなぁ(笑)。S・L・ジャクソンと、その愛人を演じるB・フォンダ、彼等の仲間デ・ニーロの三馬鹿トリオの妙な「間」もこの映画の醍醐味だ。そう、この三馬鹿トリオの間合いを面白いと思うか否かでこの映画の評価がまっぷたつに別れるでろう。デ・ニーロの役所に関して、これが演出なのか演技なのかミスキャストなのか。これまでのデ・ニーロのオーラを期待している人には完全に肩透かしをくらうであろう。
大物に見えて実は単なるダメオヤジってのをデ・ニーロは狙い澄まして演じているようにも感じるよ。
ただ、この作品に限らず、デ・ニーロを起用するのは難しいでしょうね。どうしたって彼に対しては、観客側が勝手に期待し想像してしまう。デ・ニーロなんだから何かあるはずだろう?って。

この三馬鹿トリオの紅一点、B・フォンダがいい存在感で、ワタシはこの映画で彼女を見直してしまった。いっつもラリってて正気な時間などあるんかい?って感じの薄っぺらい女。決して自分の努力で人生を切り開くタイプの女ではなく、それどころか「努力ぅ?そんなのメンドクサイわ。いいのよアタシは囲われ女で。ホームレスになるよかマシでしょ?」って言いたげなのが思いっきり伝わってくる。それを嫌味なく演じているのがいいよね。

映画はジャッキー側の作戦を軸に、三馬鹿のドタバタぶりが絡んで昇華されるのだが、ん〜、なんだろう?舞台裏が明かされる段になって、ちょっとドタバタし過ぎたか?と、そう思ったとたん、ラストのジャッキーの「顔」に私は泣いた。
マックスと別れたジャッキーが車に乗り込み走り出す。ボビー・ウーマックのACROSS 110TH STREETが流れる中、ほろりと流れる涙。このシーンで、なんとワタシは大泣きした(笑)。ここで完全燃焼(笑)。
中年女の強さ寂しさ侘しさ哀しさが凝縮された、パム・グリアの「顔」に拍手。
[PR]
by pugslife | 2007-03-07 20:47
<< 言いたい放題映画レビュー*死ぬ... 言いたい放題映画レビュー*ショ... >>