言いたい放題映画レビュー*デブラ・ウィンガーを探して
f0122159_207993.jpg結婚生活 子育て エイジング 整形 仕事 ……。
華やかなショウビズ界で生きる女優達の本音が赤裸々に語られたのは、ロザンナの人徳でしょう。
原 題 searching for Debra Winger(03年/米)
監 督 ロザンナ・アークエット
出 演 パトリシア・アークエット/ロザンナ・アークエット/エマニュエル・ベアール/カトリン・カートリッジ/ローラ・ダーン/ジェーン・フォンダ/テリー・ガー/ウーピー・ゴールドバーグ/メラニー・グリフィス/ダリル・ハンナ/サルマ・ハエック/ホリー・ハンター/ダイアン・レイン/グウィネス・パルトロー/マーサ・プリンプトン/シャーロット・ランプリング/メグ・ライアン/アリー・シーディ/シャロン・ストーン/トレイシー・ウルマン/ジョベス・ウィリアムズ/
デブラ・ウィンガー/他総勢34名の女優達

「妹のパトリシアは女優だけど、姉のロザンナはまるでコメディアン……」
ショウビズ界って実に過酷な世界だ。あのロザンナがコメディアン呼ばわりされていたとは…。
私がロザンナを知ったのは「マドンナのスーザンを探して」という映画だった。当時マドンナが私のアイドルだった頃、このタイトルに騙されて観てしまった映画がソレだった。

その後、リュック・ベッソン監督の「グレート・ブルー」で予期せず再び彼女を観た時は、正直驚いたものだ。
あのエセ・マドンナはこんなに良い女優だったんだ〜?って。
その後も彼女はマ−チン・スコセッシ監督の「ニューヨーク・ストーリー」にも出演しており、順調にキャリアを積んでいるように思っていた。

米のロック・バンド/TOTOの「ロザーナ」は、彼女に捧げられた曲であることは有名だし、ピーター・ガブリエルとの長年のパートナー・シップ(既に破局)は、ピー・ガブ・ファンの私が知らないハズがなかった。
しかし何年かぶりで再び彼女を観た時、あまりの変貌ぶりにまたしても驚かされた。なんともハスッパなヤンキー姉ちゃんに成り下がっていたからである。次の作品も、また次の作品も……。

確かに彼女は、いわゆるハリウッド女優の華々しさとは一線を画している印象があった。オフ・ビートな雰囲気が彼女の持ち味だった。それにしても、どうしちゃったんだろう?何が彼女をそうさせたんだろう?節操を欠いた印象はその後も続き、今となっては妹のパトリシアの方が女優としての知名度は高く、良い仕事をしている。そしてパトリシアを語る時、もはや姉の名前は不要となった。

そんなロザンナがドキュメンタリー・フィルムを撮ったという。
仕事と家庭の両立に悩み、気が着けばショウビズ界の隅っこに追いやられ引退を考え始めたロザンナは、苦しみながら創造する世界に身を置こうとする同業者達に意見を聞いてみたくなったという。
仕事について家庭について、みんなはどうやりくりしているの?って。
ジェーン・フォンダやデブラ・ウィンガーはなぜ引退してしまったのか?
何度もオスカーにノミネートされ、最も脂がのっていただろう頃に、何故彼女らは引退を決意したのか?
その理由に触れることが出来たなら、自分の心の霧も少しは晴れてくれるだろうに、そう思いながら。

結婚生活 子育て 加齢 整形 仕事 セクハラ ……どの世界の女達も、抱える悩みは皆驚くほど同じ。女優もOLも大して変わらない。
しかしショウビズ界で得られるサラリーは、一般的な仕事に比べるとかなりの高額である。人生の壁にぶつかった時、彼女らにはお金で解決出来るという選択肢が用意されているのである。そういう選択肢があること自体、実に羨ましい限りである(笑)が、それと引き換えに、彼女らは常に世間の好奇の眼にさらされているという代償が伴う。お金で解決しているという罪悪感も伴う。そういった罪悪感や、加齢からくる衰えにどう折り合いをつけているのか?

このフィルムに出演している女優34人の中でも、勝ち組と負け組がハッキリと浮き彫りにされているのが面白い。
彼女達の本音トークよりも、この対比が私的には一番面白かった点だ。
もちろん監督のロザンナはそんなことは狙っちゃいなかっただろう。狙ってのことだったら、相当に意地悪い映画だ(笑)。メラニー・グリフィスやダリル・ハンナ、ケリー・リンチらのなんとも不自然な表情は整形によるものだろうし、そうした片鱗が見えるだけで負け組の旗を掲げているように感じてしまうのは私だけだろうか?
語られる内容もどこか子供っぽく苦笑してしまう。

いっぽう、シャーロット・ランプリングやホリー・ハンター、ダイアン・レイン、フランシス・マクドーマンドの美しさ、格好良さったらない。仕事や人生に対しての姿勢も実に真摯でありながら、心は軽快で柔軟。こんな年のとり方をしたいと思わせてくれる素敵な女性達だ。語られる言葉も不平不満の井戸端ではなく、確固たる姿勢を保ちつつ自分自身をきちんと見据えているあたりが勝ち組となった所以でしょう。

そして、この映画でイチバン輝いて見えたのが監督のロザンナ・アークエット本人だ。
無邪気に泣いて笑って語るあたりは、かつての出演作で見てきた彼女のままであり、飾らない言葉や姿・表情の一つ一つがたまらなく可愛い。
また、「こんな健全な利用のされ方は初めて」と大笑いするデボラは、こうも言う。それは……御自身で御確認を。

この映画は監督がロザンナだからこそ面白くなったドキュメンタリーだ。
彼女でなければ入り込めなかった舞台裏に潜入することが出来たし、語る女優達も警戒心なくリラックスしているのが良く分かる。そして、ロザンナだからこそ撮れる映画がこの先もきっとあるハズだ。
期待せずに(?)期待しているよ!
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by pugslife | 2007-03-07 20:06
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