言いたい放題映画レビュー*マルホランド・ドライブ
f0122159_19314457.jpg摩訶不思議なリンチ・ワールド。実は悲しい恋物語。
リンチ監督の最高傑作ではないでしょうか?

製作総指揮:ピエール・エデルマン デヴィッド・リンチ
監 督 デヴィッド・リンチ
脚 本 デヴィッド・リンチ
撮 影 ピーター・デミング
音 楽 アンジェロ・バダラメンティ
出 演 ナオミ・ワッツ ローラ・エレナ・ハリング アン・ミラー ジャスティン・セロー

「監督の作家性を楽しむ映画」という点では、リンチ監督の作品ほど映画ファン心をくすぐられるものも少ないのではないでしょうか?
そして世界中に数多くいる映画監督の中でも、デヴィッド・リンチ監督ほど観客に媚びない人も珍しいですよね。また、ハリウッド女優をこれだけ下品に撮る人も、彼以外には見当たりません(笑)。彼の作品を観る度に、「どーゆー人なんだろっ?リンチってっ!」って常々思いますねぇ。
なのに何故でしょう?ワタシはリンチ監督の作品にはとても惹かれてしまうんです。
普通に撮ったらなんてことないストーリーでも、リンチ監督にかかると難解、あるいは醜悪(笑)なものに成りかねません。なのに大手映画会社が彼の作品を配給する理由、それは「魅力があるから」です。

品行方正な映画ファンから見れば、彼の作品は下品で厭らしくて禍々しいものに映るのかもしれません。
難解さを装った亜流映画と感じる人もいるでしょうし、難解が故に有り難がってるんだろう?と思う人もいるでしょう。
人それぞれですし、どう思うかは自由ですが、ほんの少しでも「人の心の闇」であるとか「裏返しの純粋さ(純粋さの裏返し)」みたいなものが理解できるなら、リンチ監督の作品を受け入れる土台はあると思います。
作品として完璧な状態で世に送りだした以上、映画に関するコメントは一切しない。
自分(観客)の感覚のままに音楽のように「感じて」くれればそれでいい。と監督は言っています。
「受け入れて頂かなくて大いに結構」きっと監督はそうも言うでしょうけどね(笑)。

この「マルホランド・ドライブ」という作品についてはネット上に相当数の解読サイトがあるので、きっちりとした整合性を持って理解したいという方は、解読サイトを御覧になることをお薦めします(笑)。
って、それじゃぁレビューにならないので、ほんのちょっとだけ。

マルホランドで事故にあったリタ(=カミーラ)が夜の住宅街をふらふらと歩き、大通りに出る所で、カメラは「サンセット大通り」という標識をアップにします。
この時点で「あ、この映画は既に死んでいる人の回想なのかもしれない」って思いました。
そうです、ビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り(1950年)」を観た方ならお気付きでしょう。この映画は、映画史上初めての「死人の回想による物語」なのですから。
(「サンセット大通り」が伏線になっていることは、誰も取り上げてなかったような気がします。。。)
と、ここまではスンナリ入れたのですが、では誰が既に死んでる人なのか。。。?
そこはやはりラスト30分のシーンを観るまでは分かりませんでしたねぇ。
しかし、ラストの30分が理解出来るなら、前半で語られていることや貼られた伏線は、現実世界のダイアンの行動に全てリンクしていることにも気がつきます。
先にあげた「サンセット大通り」も、見返してみると「なるほど!やっぱり!!」と予想から確信へと変わるのです。その醍醐味ったらありません。
ワタシも全てのことに合点がいくまでに3回ほど観ました(笑)。最初は公開当時に、次はレンタルが始まってすぐに。3度めは昨夜です。
まだ何か見落としている点がありそうで、また観てしまいそうな「覚醒成分配合(?)」な作品です。

こうした楽しみ方があることを、リンチ監督から教わりました。
映画に「遊び心」を必要としない人には、実にたいくつな146分となるでしょう。

映画の前半は、ダイアンの願望が死ぬ間際に見た「夢」に反映していたんですね。
前半の「リタ」とは違って、実際には無神経で横柄だった「カミーラ」。
殺し屋ジョーを雇ってまでカミーラへの嫉妬に狂ってしまったダイアン。
この映画の大筋は、実は嫉妬に狂った悲しい女の物語だったのですね。。。

全編に渡る異様な緊迫感、登場人物の妙な間合いのセリフ回し、ブルーボックス・カウボーイ・老夫婦。。。
どこを切っても金太郎のごとく、どの場面を切り取ってもリンチ・ワールドです。
解読しようとせず、感じて下さい。

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by pugslife | 2007-03-07 19:31
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